TEXTILE
Textile by skillful challenger
熟練の挑戦者による生地づくり
素材と向き合い続ける姿勢
用途別にかせ染めした糸を織り上げる“先染め”ジャカードの槙田の生地。その高い技術は傘だけでなく、日本のファッションブランドの発展とともに、縁の下の力持ちとしてメイドインジャパンのファッションを支えてきました。槙田商店の生地は織り生地です。だから絵を描くことよりも先に素材を考える。手にする。そしてその素材に適した柄や色を考えてデザインします。そうすることで織り生地でしか表現できない、奥行きと質感が美しい柄が可能になります。糸一本一本で描く凹凸と、色柄にこだわったオリジナル生地は、世界のトップブランドからも支持されています。
槙田商店の生地ができるまで
1枚の布に仕上がるまでには、多くの細やかな工程があり、そのひとつひとつに古くからの産地の伝統を受け継ぐ専門の職人たちがいます。
同じ産地の機屋さん、糸屋さん、生地加工屋さんと連携しながら、槙田商店では主に6つのステップで織物を織りあげていきます。
Step1.糸のセレクト
まずは、織物をどのような用途で使いたいかお知らせください。ジャケット、シャツ、傘、インテリアなど、商品の仕上がりイメージに合わせて糸をセレクトします。糸は、撚り合わせ方や細さにより、織物の柔らかさやシャリ感、厚みや風合いなどが変わります。また、コットン、 シルク、キュプラ、リネンなどの天然繊維、ポリエステル、ナイロンなどの化学繊維、長繊維と短繊維など、糸には様々な種類や機能がありますので、素材感についてはテキスタイルデザイナーにご相談ください。
Stap2.紋意匠のデザイン
デザイン画に合わせて、紋意匠のデザインを行います。織物には、平織(ひらおり/プレーン)、綾織(あやおり/ツイル)、朱子織(しゅすおり/サテン)という三原組織があります。一般的に、オーガンジーや帆布などに使用する場合は平織、デニムやウールコート地などには綾織、ドレス地やネクタイ地などには朱子織が向いているとされていますがユニークなテキスタイルを作るためには、これらの組織を使い分けながら風合いを作り上げますので、織物組織についてはテキスタイルデザイナーにお任せください。
<織物の三原組織(さんげんそしき)>
<平織(ひらおり/プレーン)>
たて糸とよこ糸が1本交互に交差している最も単純かつ基本の織組織。摩擦に強く丈夫な生地に。織りあがります。シャンブレー生地(玉虫織)はこの織組織で織られています。
<綾織(あやおり/ツイル)>
ツイルや斜紋織とも呼ばれる織り目がナナメになっている織組織。デニム生地などに使用されており、伸縮性に優れ、シワの寄りにくい生地になります。
<朱子織(しゅすおり/サテン)>
たて糸かよこ糸のどちらかの糸を目立ちにくく織る織組織。表にたて糸が見える場合は裏によこ糸(もしくはその逆)が見える生地に織りあがります。高級感のある光沢がある生地に仕上がります。
例えば槙田商店が得意とする、たて糸1色、よこ糸3色の糸を使用した多色ジャガード生地の場合、
・限られた糸の色数の組み合わせで柄の色彩をどのように表現するか?
・単調にならず陰影を立体的にみせるにはどの織組織をどこに使うか?
・生地の厚みや手触りがイメージした風合いになるか?
・傘生地など防撥水加工を施す場合は耐水圧の基準値をクリアできる生地になるか?
図案から織物に仕上げていくために総合的なバランスを考えながら織組織を考えていきます。
Stap3.織物のサンプル制作(試織/ししょく)
使用する糸や組織によって仕上がりイメージが異なりますので、まずはサンプル(着分)を織ります。5m程度の試織では、布目が曲がってしまうことから、当社では15〜20m程度の試織を推奨しています。整理加工を施した織物の色や風合いを確かめていただき、細やかな織組織の調整や配色パターンなどを決めていきます。
Stap4.織る
納得のいく仕上がりのサンプル生地ができたら、いよいよ本番の生地を織り出します。機械で織るとはいえども、髪の毛1本ほどの細い糸の扱いは非常に繊細な作業で、時には何千本という糸を手作業で繋いでいくこともあります。糸1本1本に気を配りながら織物を織り上げていくのは、根気と技術がいる作業です。
Stap5.生地の整理加工
織りあがった生地は、同じ地域の生地の整理加工所に依頼し、加工作業を施します。洗浄、しわ伸ばし、アイロンなどにより生地の風合いを整える加工。傘生地などの場合は撥水、防水、遮熱などの機能性コーディング加工を施したりします。
Stap6.検反
整理加工を施した後の全ての反物を、キズや汚れがないか検品していきます。ひとつひとつの反物を人の目で丁寧に見定め、わずかな汚れやキズならば専用の道具で修正します。出荷前に行う仕上げの大事な工程です。
6つの工程を経て出荷された生地は、アパレル製品やインテリア、バッグ生地など様々な用途で使用されています。
槙田商店では一から生地づくりができる強みを生かし、クリエイターの方々と共に新しい技術や未知の織物への挑戦をし続けています。