

Planning & Design team
企画デザインチーム
150年の歴史で培った素材の知識を活かして、お客様のアイデアやご要望をカタチにする、生地と繊維のプロチームです。常在のテキスタイルデザイナーたちが、生地の完成までサポートいたします。
このほか、オリジナル生地や傘地をはじめ、海外展向けの企画デザインも手がけています。
生地の企画や設計だけでなく、WEBコンテンツやSNSを活用した広報業務なども幅広く担当しています。

傘づくりを通して学んだ織物の魅力と面白さ
interviewee:瀧口里香
ファクトリーブランド槇田商店の立上げに携わり、主力商品である「絵おり」や「kirie」などのテキスタイルデザインを手掛ける。傘地や服地のデザイン、オフィシャルサイトやオンラインショップ運営、パンフレットなどのグラフィックや、SNSなどの情報発信を担う。美術大学でグラフィックを学び、2011年より槙田商店に在籍。
Q. 槇田商店でテキスタイルデザイナーの道に進んだきっかけは?
美術系の大学でグラフィックを学び東京で働いていたのですが、実家の珈琲ショップに飾られていた私の絵を見た槇田商店のデザイナーさんから「うちに来ない?」ってお声がけいただきました。後に、私の作品の色彩や構図、間の取り方を評価をしていただいたとうかがい、その出来事がきっかけで織物デザインの世界に入りました。
最初は、絵を平面でしか考えたことがなかったので「傘に絵を描く」というイメージが沸かなくて、八角形に薔薇を当て込んで描いてみたり、そこから徐々に立体的に絵を配置してみたりと試行錯誤の日々でした。更に、生地幅で織り上がってくる織物の中に傘のコマとして絵を配置するために、再度絵をレイアウトし直す作業を繰り返しました。初めての経験ばかりですし、織り上がった生地を縫製してみると、画面だけの世界観と実物の織物とでギャップがあるなど、幾度となく試織(ししょく)をしながら「絵おり」を開発に携わらせていただきました。絵を描くことと、織物を作るために必要な知識が全く異なるので、最初は本当にちんぷんかんぷんでした(笑)。


Q. 織物のデザインの難しさについて教えてください。
組織設計は、織ってみないとダメな箇所に気づけないことも多いんです。例えば、5丁のサテン組織を使う場合は15の倍数で設計する必要があるのですが、最初は先輩がおっしゃっている意味さえもわかりませんでした。織物はビットマップのような世界ですので誤魔化しがききませんし、いざ織組織を流し込んでみると、不自然な「アタリ(織物に筋や糸の飛びなどが出てしまう現象)」が出てしまうこともあります。アタリが出てしまう理由がわからなくて先輩に聞くと「この組織をこのように変えてごらん」と教えてくださりその通りやると直せるのですが、なぜアタリが出てしまうのかを論理的に理解するまでに、5年かかりました。


Q. 思い入れのある傘について教えていただけますか?
やはり、最初に作った絵おりシリーズですね。四季の花々の傘を作りたいとスタートしたのですが、傘は雨漏りをしてはいけないため、使用できる組織に制限があり、その中で織物の設計は非常に難しい作業です。
例えば「向日葵」であれば、黄色・グリーン・茶色の3丁(3色の色糸)で制作しているのですが、組織を入れ込み13種類に分けて作ってみてねと先輩に言われて、織物ができる構造を理解しながらデザインしていたので、とても苦労しました。でも作っているうちに、絵の中に立体感をつくるようなイメージが湧いてきて、少しずつ「絵を描く作業」から「描いた絵を織物に落とし込む感覚」がつかめるようになってきました。
試織を幾度となく重ねながら、弊社の縫製職人さんが傘にするために裁断したり縫製している様子を目の当たりにして、傘のコマのつなぎ目のレイアウトにも慎重に調整しながら美しい傘に仕上げるためのデザインを心がけました。




Q.最近行っている槙田商店での業務内容を教えてください。
傘生地や服地のテキスタイルデザインも行いながら、自社サイトやオンラインショップ運営、コラムの画像作成、販促物、展示会対応、写真撮影、映像制作、パンフレットやグラフィックデザインの制作まで、幅広く関わっています。他にも、テキスタイルアカウントのInstagramの配信も毎週行っています。テキスタイルデザインはGABO(ガボ)という専門のソフトを使って組織を作り込むのですが、パンフレットやDMなどのグラフィックデザインも、IllustratorやPhotoshopなどの専門ソフトを使うので、2つのパソコンを使い分けているので、私のデスクにはパソコンた2台並んでいます(笑)


Q. 槙田商店で働く楽しさや働きやすさは?
常に新しい挑戦が生まれてくるのが楽しいですね。暇だと逆に疲れてしまうタイプなので、忙しい方が性に合っているんです。子育て中でも働きやすい環境が整っていて、リモートで対応できる業務もありますし、産休のときも周囲がしっかりサポートしてくれたので、下の子の出産時も1年間しっかり産休をいただきました。まわりのサポートも手厚かったので、安心して復帰できました。
まだテスト段階なのですが、シフト制による働き方も導入していだけるようなので、子供の成長過程に応じ、勤務時間を調整して働けるので助かります。昔は残業もしていましたが働き方改革で今は無く、イベントの出展後には振替休日もいただけますし、柔軟な働き方ができるのがありがたいですね。女性が働きやすい職場だと実感しています。


Q. 今後の目標や展望は?
織物の魅力を伝えるには、やはり映像が不可欠だと感じています。先染め織物ならではの光沢感や、織物だからこそ生み出される立体感や陰影は、静止画ではなかなかお伝えすることができません。高級傘の玉留めの扱いや、折りたたみ傘の畳み方なども、動画の方がずっとわかりやすいです。若手スタッフも増えてきたので、みんなと連携しながら、チームで制作できる体制を整え、より魅力を伝えるブランドづくりを進めていきたいです。

